お客様から聞かれることが多いです。
敷金と礼金がなければ、マンション・アパートに入居する際の契約金が安くなる…イメージがあるからです。決して間違いとは言いません。
手持ちの引越し資金に余裕がない方に限らず、誰でも物件の契約金(=初期費用)を安くしたいものです。余計なものにお金を払いたくない気持ちはわかります。
しかし、
本当に「敷金礼金なしの物件はお得」なのでしょうか??
その”ゼロゼロ物件”について、現役宅建士が注意点や見方を分かりやすくまとめました。
\現役宅建士の営業トークなし解説!/
Contents
そもそも…敷金礼金なし物件ってなに?
敷金は賃料の1ヶ月分、礼金は賃料の1ヶ月分がほとんどです。
詳細は省きますが、敷金と礼金のおまかな説明は以下の通りです。
礼金 |
入居する際に大家さんへ支払うお礼のお金。 |
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敷金 | 入居する際に大家さんに預け入れるお金。 退去する際、室内クリーニング代や滞納分などを差し引いて余った金額は返金されるのが通常。 退去する際に戻らない「敷金償却」の契約も増えているので、しっかり確認を。 |
例1)の契約金の明細をご覧ください。
家賃50,000円の物件の「通常」の契約金の明細になります。
家賃
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50,000円
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敷金
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50,000円
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礼金
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50,000円
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仲介手数料
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54,000円
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鍵交換費用
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15,000円
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火災保険料
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18,000円
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契約金合計
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237,000円
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敷金礼金なし物件(ゼロゼロ物件)は、敷金礼金がどちらも0(ゼロ)の募集条件の物件のことです。
では、通常の契約金明細と敷金礼金なしの契約金明細をみてみましょう。
通常
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敷金礼金なし
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家賃
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50,000円
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50000円
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敷金
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50,000円
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0円
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礼金
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50,000円
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0円 |
仲介手数料
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54,000円
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54,000円 |
鍵交換費用
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15,000円
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15,000円
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火災保険料
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18,000円
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18,000円
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契約金合計
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237,000円
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137,000円
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敷金と礼金がない分、その差10万円となります。
本当の敷金礼金なしの物件であれば、上記の表のようにかなりお得です。
世の中には、そういった良いイメージだけが先行して広まっており、不動産検索サイトの検索項目に「敷金礼金ゼロ」というチェック欄があるくらいです。
その敷金礼金なしの物件、本当に「他の費用」掛かりませんか?
今一度、契約条件をしっかり確認されることをおすすめします。
代表例が以下の通りです。
-
保証会社の利用料金
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クリーニング費用
-
短期解約違約金
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その他、余計なオプション
1)保証会社の利用料金が掛かる(契約時、月額、年額)
賃貸保証会社の利用が必須条件の物件があります。その場合は、以下の費用が発生する可能性があります。
初回保証料 | 契約時に、家賃や管理費など月々に支払う費用(月額費用)に対しての30~100%ほど掛かる。 月額費用が50,000円であれば15,000~50,000円ほど。 |
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月額費用 |
口座引き落とし手数料を兼ねていることがほとんどですが、月額費用の1%ほどが多い。高いところでは1,200円ほどかかる場合もあります。 |
保証更新料 |
1年ごとまたは2年毎の保証料
初回保証料や月額保証料とは別に、1年もしくは2年ごとに10,000円~、もしくは月額費用の30%~など。
賃貸契約における通常の更新料とはまた別ものです。
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- 上記3つの費用については、
- 初回保証料だけ
- 初回保証料と月額費用
- 初回保証料と保証更新料
- 初回保証料、月額費用と、さらに保証料更新料
など、加入する保証会社によって、プランはさまざまです。
2)クリーニング費用を預け入れる必要がある
敷金がある契約の場合、敷金からルームクリーニング費用を差し引かれることとなります。(※)
保証会社の利用料金や短期違約金と比べると、無駄な費用というわけではありません。
3)短期違約金の特約が設定されている
敷金礼金なしのゼロゼロ物件は、契約にこのような特約がされることがあります。
「1年未満の解約の場合賃料の2か月分、2年未満の解約の場合賃料の1か月分」
入居する期間が短いと違約金が掛かりますよ。という内容です。
4)その他、余計なオプション加入が必須となっている
本来、賃貸契約において不要なはずのものが、なぜか必須条件となっているパターンです。以下がそれにあたります。
- 消火剤消毒代
- 抗菌施工費用
- 24時間サポート
これらは大家さんの意向というよりは、管理会社や募集会社の意向として設定されていることが多いです。
申込み前に契約条件をよく確認しましょう。
以上のような「わかりにくいワナ」もありますので、敷金礼金ゼロだからといって迂闊に飛びつかないようにしましょう。
決して数は多くありませんが。
それに、安くするには理由があります。
その要因をしっかり確認して、自分にとって問題ないことなのか、許容できるリスクなのか、をしっかり見極めることが大事です。
お得だったはずが結局また引越しをしなければならない。となると本末転倒。
お金と時間がもったいないですからね。
この記事をきっかけに、良い物件探しができることを願っております。
\現役宅建士の営業トークなし解説!/